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自動車にとってモノのインターネットが持つ意味とは

2020 年には 2 億 5,000 万台のコネクテッドカーが公道を走る

122897374.jpgガートナーの予測によれば、2020 年には 5 台に 1 台の自動車が何らかの形でネットワークに無線接続している時代になります。モノのインターネット(IoT:Internet of Things)の世界では、従来ネットワークにつながっていなかった機器が無線でインターネットに接続し、データを取得したりシステムを自動化したりします。そして、今や自動車はこの新しい技術の主要要素の一つです。

「コネクテッドカー」は自動車の製造業界とディーラーだけでなく、交通のあり方にまで革命をもたらしはじめています。一方では、消費者のプライバシーを脅かすような、深刻なソフトウェアの脆弱性が大きくメディアで取り上げられています。

コネクテッドカーとは

コネクテッドカーの概念は極めて複雑です。これは無理もないことで、自動車に無線接続機能が搭載されることで、高度なインフォテインメントシステムやアプリケーションプロセッサー、ヘッドアップディスプレイ(HUD:Head-Up Display)、グラフィックアクセラレーター、車両間通信(V2V:Vehicle-to-Vehicle Communication)などにとって、果てしない可能性が広がるからです。しかも、これはほんの序章です。
自動車保険から燃費に至るまで、コネクテッドカーが消費者に大きな影響を与えることになるでしょう。交通が完全に一体化されたシステムとなる未来を信じて、業界は一丸となって取り組んでいます。現在のコネクテッドカーは、完全な自動運転車の実現に向けた進歩の第一歩にすぎません。

たとえば、Google は公道で自動運転車両を走らせており、シボレーは同社の新型車に Wi-Fi を搭載しています。Navigant Research社のレポート「Transportation Outlook: 2025-2050」(輸送産業の長期的展望: 2020 - 2050 年)によると、ドライバーによる操作が一切必要ない自動運転車の登場は、早くても 2025 年ごろになるだろうとのことです。ただし、その主な理由は、先に道路標識や信号機、GPSマップシステムを完全に統一した形で整備する必要があるからだと指摘しています。

おびただしい数の技術が開発されていますが、スマートカーの進歩を促している最大の要因は何かと言えば、安全な運転環境を目指す取り組みです。ひとたび自動運転が可能になれば、自動車事故数は大きく減少し、2050 年までに 9 割減となるだろうと予測されています。ただ、物理的な安全性はスマートカーの最優先課題となっていますが、サイバーセキュリティはというと、それほど重要視されていないのが現実です。
ネットワークにつながってしまう自動車にとって、IoT のサイバーセキュリティはますます大きな脅威だということを消費者とメーカーの両方が認識することが極めて大切です。コネクテッドカーを使うのであれば、ハッカーの存在は深刻な問題です。スマートカーのデータベースに蓄えられた個人情報がハッキングに遭う可能性があるだけではありません。V2V技術によって、スマートカーは自分の位置や進行方向を常時一斉送信しているのです。

自動車のセキュリティホール

自動車業界に詳しい専門家によれば、自動車は最もセキュリティ関係の取り組みが弱い産業の一つだと言います。ここ数年で、スマートカーやコネクテッドカー用アプリが相次ぎ詳細な調査の対象となり、度重なるリコールや安全上の問題、それにディーゼルエンジンに関する不正など、数多くの課題が浮き彫りになりました。これらの背景には、無線信号を保護する仕組み作りや、内部セキュリティ基準の確立、新しい規制等の整備、ソフトウェアを適切にアップデートしてセキュリティに関係する脆弱性を修正するなど、メーカーがさまざまな対策を講じるのを怠っていたという事実があります。

こういった問題は後を絶ちません。たとえば、日産自動車の電気自動車「リーフ」に搭載されているアプリは簡単にハッキングが可能なことが判明し、日産はこのアプリを利用停止としました。また、フィアット・クライスラー・オートモービルズは昨年、ハッカーがソフトウェアの脆弱性を突いて無線で自動車を乗っ取り、ブレーキやアクセルなどを電子制御できる可能性があるとして、140万台の車両を対象とするリコールを発表しました。
今後、ネットワークにつながる自動車が増えれば、コネクテッドカーに対する IoT の影響はますます大きくなります。インターネットに接続すると、自動車もサイバー攻撃の対象になりえます。サイバーセキュリティの甘いコードのソフトウェアが使われていると、自動車が不安定になりかねません。また、IDC と Veracode は共同調査のレポートで、自動車に蓄えられたドライバーの行動に関する情報が中央ネットワークへと転送されるような場合には、膨大な量の消費者データを狙う犯罪者の新たな標的になりうると指摘しています。そして、このような情報の保護が重要であるにもかかわらず、サイバーセキュリティ対策が驚くほど甘い点に警鐘を鳴らしています。

最新情報に注意

製造プロセスには、あらゆる段階でサイバーセキュリティのベストプラクティスを実践しなければなりません。現時点では自動車のセキュリティに関する規制はほとんどありませんが、その状況にも少しずつながら変化が出てきています。米国では「自動車のセキュリティに関する米連邦標準の整備を呼びかける法案」(Security and Privacy in Your Car (SPY Car) Act of 2015)が提出されたほか、SAEインターナショナルが発行している J3061 ガイドラインが製造プロセスにおけるセキュリティ対策の適用を呼びかけています。
車載技術に対する要求は日に日に高まっていますが、安全に対する要求も忘れてはなりません。消費者はコネクテッドカーに絡む問題を認識するだけでなく、どのようなセキュリティ施策が使えるのか(あるいは、まだ使えないのか)を知っておくべきでしょう。自動車メーカーと消費者はともに、過去の脆弱性が将来の妨げとならないよう検証し続ける必要があります。完全装備のスマートカーとは、ドライバーの命を守ると同時に、データもハッカーの手から守る自動車でなければなりません。

この記事は、米国 DigiCert の許諾の下 DigiCert Blog の投稿記事を翻訳したものです。
オリジナル記事はこちら: What the Internet of Things Means for Your Car - [2016 年 7 月 22 日投稿]